エディー・ジョーンズ ラグビー・イングランド代表HC(Eddir Jones)
100%勇気の問題。
確固とした信念を持って、一切の妥協なく目的遂行に取り組み、
周りとの軋轢(あつれき)を恐がらない。
「選手から好かれる必要などありません」とさえ言い切ってしまう。
2015年(平成27)W杯第8回イングランド大会では日本代表を引っ張って、
南アフリカ撃破というような史上最大の番狂わせをもたらし、イングランドでは就任18連勝、
それに加えシックス・ネーションズ連覇を成し遂げた稀に見る名将、エディー・ジョーンズ氏。
▼エディー・ジョーンズ ラグビー・イングランド代表HC(Eddir Jones)【目次】
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出典元:https://00m.in/xSjYp
「義をみてせざるは、勇なきなり」
孔子の『論語』に語られたことば
孔子は言う。
やるべきこと(義)を知りながらそこに挑まないのは、勇気がない証だと。
2015年ラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会間際の、日本代表の宮崎合宿。
無類の読書家ということで知られる指揮官は、この孔子の言葉をミーティングルームに掲げて、
選手たちを情熱を傾けて追い込んでいった。
君たちに世界をあっと言わせ、歴史をひっくり返す勇気はあるのか。
その勇気を見せつけてみろ、と。
エディー・ジョーンズ氏は、
現在イングランド代表を統括する世界的なヘッドコーチ(HC)、指揮官。
南アフリカを打ち負かした「ブライトンの衝撃」から、ラグビーの母国イングランドに渡った
エディー・ジョーンズ氏は、今になっても世界中を驚かす。
オールブラックスに並ぶ連勝記録(18連勝)に輝いたうえでの、
シックス・ネーションズ(欧州6ヵ国での国代表リーグ戦)連覇。
周囲との衝突を恐れることなく、それとは逆に軋轢を喜んで迎えるかのごとくわが道を突っ走る、エディー・ジョーンズ氏の勇気は、なにから生まれるのでしょう。
「私に嫌われる勇気が備わっているというのなら、それと言うのは『自分を貫く勇気』です。自分を信じて、自分自身でい続ける、大勢の日本人は他者から好かれたいと考えているあまり、たえず周りの人の顔色をうかがって生きている。結果として、自分であることを貫けない。選手だけじゃなく、コーチ陣にすらそういったことを感じる」。
自分を貫く時に欠かせないものとは、
「ハードワーク。ハードワークを実践すると『自信』が生まれる。自信はそのうち『信念』へと生まれ変わる。そのうえで、信念があれば自分を貫き、いっそうハードワークに立ち向かえる。ハードワーク、自信、信念。このサイクルを停止させてはだめです」。
ハードワークによって強化されるのは、フィジカルだけじゃありません。
「日本においてはフィジカル面のハードワークには熱心ですが、精神面や感情面の影響力を重視しないでいるように感じられる」。
分かりやすく言うと、
「動機付けと、それを手助けする環境作り、選手は、自分自身がコーチやスタッフから信頼に値すると実感できた時、初めて真のハードワークに取り組める。だけど、日本の古いタイプの指導者は選手に過酷な規律を求め、ただただ失敗をガミガミ言う。これというのは『お前のことなど信用していないぞ』というようなシグナル。思い切ったプレーができるわけがない。どのようなハードワークを課したところで、感情がともなっていませんから伸びてこない。年に何回か、日本でコーチングのクリニックを開催しているが、ハードワークを勘違いしている日本人のコーチはけっこう多い」。
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「選手全部が全部同じように指導すること」
こんなのは規律でも平等というのでもなく、思いあがりだと言わざるをえない。
自分自身も、1週間の中で2分間しかしゃべらない選手もいます。
しかしながら、その2分間に向けにどれほど考え、どんだけの時間とエネルギーを割けるか。
それこそがプロフェッショナル、コーチの仕事。
ほんの2分間で構わないから全員と個人個人にコミュニケーションを取る。
この2分間であますところなく伝え、ことごとく受け止める。それだけの気を配っておく。
これというのは『お前は必要とされる存在なんだよ』といったメッセージという側面もある。
コーチが自分自身を見ていてもらえている。自分に対して考えてもらえていること、自分を必要としてくれてること。そういったものを選手たちに実感してもらわなければいけないのです。
そういうわけで、初めて選手は感情のレベルでチームにコミットメントする。
感情のコミットメントが生まれたチームは、
必ずと言っていいほど素晴らしいパフォーマンスを発揮する。
選手から嫌われても、少しも構わない
選手から敬意を持たれないとしたら、そういうのは指導者失格。
『人は、自分自身には価値があると感じられたときにだけ、勇気が持つことができる』。
だからと言って、チームマネジメントとしては規律も欠かすことができない。
自由と規律はどのように両方をやり遂げるのか。
「自由と規律は、いつだって衝突します。このとき指導者に欠かせないのは、適正な『フレームワーク』を設ける能力」。
一人ひとりの選手に「枠」を提示し、この枠の中においては自由に展開して良いと話をする。
この枠の範囲内であるならば、100%自分で考え、自分自身で決断する。
お前の自由だ。けれど、枠からはみ出すことは許されない。
これというのは「規律」。
万が一にも枠からはみ出す際には、忘れることなく許可を申し込む。
枠の形や制限範囲は、選手それぞれによって左右される。
たとえば、日本代表時代。
フルバックの五郎丸 歩選手に対しては、他の選手とは全然違う枠を与えていたのです。
五郎丸 歩選手は、人間的にもプレーヤー的にもちょっと個性豊かなタイプで、
月曜日には全体練習から別れて、キック中心とした柔軟度の高いメニューを課した。
日本代表や世界で一番大きいハードワークを行っていたことは事実で、
取り立てて規律が厳しかったということではありません。
「選手から好かれる必要などありません。嫌われても、少しも構わない。ただし、選手から『敬意』を持たれなかったら、このことは指導者失格。私はHCの職務を魂をこめて遂行している。この部分に関してリスペクト(尊敬)してもらえないならば、嫌われることが無意味」。
指導者とは孤独を感じる職業。
「指導者と選手は同じような気持ちを分かち合うことは許されない、絶対にと言えるほど」。
たとえば、選考漏れした選手と、
それらの決断を言い渡した私が同じような気持ちになれることはないだろう。
そういったことは指導者の道を選択した段階でもう知っている。
選手たちから孤立して、どのような問題があるんだろうか。
かえって、孤立しなければいけない。
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