ラグビーワールドカップ2019年日本大会 10月20日(日)W杯決勝トーナメント
W杯2019日本大会、日本4強ならず厚かった壁目に涙なきノーサイド
W杯決勝トーナメント4強の壁は高く分厚かった。
20日に行われたラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会で初めての準々決勝に 臨んだ1次リーグA組1位の日本(世界ランキング6位)は、 B組2位の南アフリカ(世界ランキング4位)に3-26で敗れ、 4強入りはなることはなかった。
前回3位の南アフリカは2大会連続5回目の準決勝進出。
D組1位のウェールズ(世界ランキング3位)は、20-19で、 C組2位のフランス(世界ランキング8位)に逆転勝ちし、 2大会ぶり3回目のベスト4進出を決定する。
フランスは2大会連続で4強入りを逃がす。
準決勝は26、27日に、神奈川県横浜市・日産スタジアムで行われる。
26日午後5時からニュージーランド(世界ランキング1位)と イングランド(世界ランキング2位)、27日午後6時からウェールズと南アフリカが対戦。 (世界ランキング19日現在)
▼ラグビーワールドカップ2019年日本大会 10月20日(日)W杯決勝トーナメント【目次】
- 決勝トーナメント(準々決勝)日本 3-26 南アフリカ
- ワンチーム 桜散る南アフリカにトライ奪えず
- W杯決勝トーナメント ウェールズ 20-19 フランス
- 車いすラグビー ワールドチャレンジ2019 日本悔しい3位
クリックで拡大
出典元:https://the-ans.jp/rugby-world-cup/89986/
クリックで拡大
出典元:https://the-ans.jp/rugby-world-cup/89823/
クリックで拡大
出典元:https://00m.in/jYK4r
決勝トーナメント(準々決勝)日本 3-26 南アフリカ
東京都調布市・味の素スタジアム 観客数4万8831人
ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会、アジア初開催の大会で、日本は1次リーグA組を4戦全勝の首位で通過し、初めて決勝トーナメント(準々決勝)に展開した。
優勝候補の一つであったアイルランド(世界ランク5位)や8強常連のスコットランド(世界ランク9位)を打ち破るなど飛躍し、W杯開幕時に10位であった世界ランキングはこれまでの中で一番の6位まで上昇。(世界ランキングは19日現在)
日本代表ジェイミー・ジョゼフ・ヘッドコーチ(HC)
「ハーフタイムでチームは少しだけ落胆していた。そうだとしても絶賛されるべき勇気と強い決意を胸に終了するまで健闘した。チームを誇りに思う、この敗戦を受け入れて、より一層進んでいきたい」。
日本代表リーチ マイケル主将
「いくつものチャンスは見られたが、南アフリカの方が勝っていた。歴史を作れたというのは監督のお陰。輝かしい経験でした。熱い応援をありがとうございました。日本はこれから先どんどんレベルアップする」。
▲ラグビーワールドカップ2019年日本大会 10月20日(日)W杯決勝トーナメント【目次】
ワンチーム 桜散る南アフリカにトライ奪えず
日本の現状はリーチ マイケル主将の言葉に一体化される。
「ゴールポスト(目標)にシフトする。けれど1次リーグの4試合ともラストの試合と考えて戦った。南アフリカも同じ」。
強豪のアイルランド、イングランドに勝って目標の決勝トーナメントに進出した日本は
1次リーグから心構えも重要と「一戦必勝」。
ロシアとの開幕戦から準々決勝に及ぶ5試合で、日本はSO田村 優(キヤノンイーグルス)、
FW稲垣啓太(パナソニック ワイルドナイツ)ら先発9人を固定。
メンバーを入れ替えつつも3試合に快勝した南アフリカとは対照的。
日本に新しいメンバーを試しつつも世界の強豪と張り合う余裕は見られなかった。
けれども、ジェイミー・ジョゼフ・ヘッドコーチ(HC)は
「明確なのは、南アフリカが何をするか明らかではないことは、我々が相手に何をすべきかだ」と言う。
控えメンバー8人の中で、南アフリカはFW6人の日本より1人多い、
序盤からFWが強烈な消耗戦をアプローチすると宣言したと同じ。
日本には相手に応じキックやボール保持の戦略を使い分け、
細かなサインプレーを用いる柔軟さが必要だった。
リーチ マイケル主将は
「南アフリカのある週の初め相手が怖く見える。それでも、自分たちのゲームプランを理解し、どのように崩すかを考えるとワクワクする」と発言していたが、前半こそ3-5と粘ったけれども、後半は地力の差を見せ付けられた。
W杯前回第8回イングランド大会の初戦、
英国・ブライトンで南アフリカに勝った偉大な業績から4年。
日本は南アフリカに3-26で破れ、主催者国として迎えた9度目のW杯をこれまでで
一番のベスト8で最後を飾った。前半は3-5と食らい付いたが後半は突き放される。
ジェイミー・ジョゼフ・ヘッドコーチ(HC、49歳)、リーチ マイケル主将(31歳)を
中心にしてつくり出しきた「ONE TEAM」さくらの戦いに幕が引かれた。
4万8831人(20日、東京都調布市・味の素スタジアム)が詰め掛けたが、
溜め息をつくこともなく、終ることを感じない拍手とねぎらいの言葉を贈る。
3-26。スコアも内容も大負け。ホームの後押しをもらっても、
なおも4強の壁は厚くて高いものであった。
そうだとしても桜のエンブレムを胸に付けた戦士たちが、
フルタイムの笛まで死力をつくす、80分間、1秒だって諦めなかった。
「ポジティブにこのチームに誇りを持っている。全部の選手、試合に登場していない選手にもだ、20点以上の差が付いても、諦めないで立ち上がり、戦いやり続けたこの誇りは一生忘れられない」。
就任から丸3年。節目に達したジェイミー・ジョゼフ・ヘッドコーチ(HC)は、
ねぎらいの言葉を選手に贈る。
「ONE TEAM」のスローガンを掲げ、うよ曲折を経験して、
1つになったチームをどこの誰よりも誇る。
4年前の再現を目差すが、南アフリカの強さと意気込みは当時より数段上。
戦前、ジェイミー・ジョゼフ・ヘッドコーチ(HC)
「南アフリカが何をしてくるか分かっている」と話し、
相手のフィジカルとセットプレーを用心。
分析通りだったけど太刀打ち出来ない、後半25分。
ハーフウェーラインからのラインアウトモールを30mもギューギュー詰めにされ、
最後にはSHフランソワ・デクラークにトライを許す。
リーチ マイケル主将
「相手が持ち味を100%突きつけてきた。そのことに適応することができなかった」
と舌を巻く。
そうだとしてもこの3年間の歩みを、悔しく思う者は一人もおりません。
3勝1敗といった偉大な足跡を残した、エディー・ジャパンに終止符が打たれ、
本来よりも半年遅れの2016年秋に動き出した
ジョセフ・ジャパンを待ち受けていたのは、逆風の連続。
指導制、チーム作り、ラグビーの方向性、すべてが180度転換した中で、
コーチングスタッフと選手は一つになれず、結果も認められなかった。
リーチ マイケルが、堀江翔太が、ジェイミー・ジョゼフ・ヘッドコーチ(HC)と
対立した一時もあります。
そういった困難を克服し、足を踏み入れた8強。
2020年以降の続投が決定的なジェイミー・ジョゼフ・ヘッドコーチ(HC)は
「3年間で選手の考えが生まれ変わった。信頼と自信ができたヘッドコーチとしては、選手たちに信頼したもらうことがベストな達成」と話される。
ありとあらゆる障壁を乗り切った「ONE TEAM」の可能性を示して、
より以上のステージへの夢を、4年後へと引き継がれた。
▲ラグビーワールドカップ2019年日本大会 10月20日(日)W杯決勝トーナメント【目次】
南アフリカ WTBチェスリン・コルビ
身長が2m近い頑強な男たちが揃っている集団の下で、その存在感は際立って異彩を放つ。
南アフリカのWTBチェスリン・コルビは、170㎝、74kgと小柄だけど「ポケット・ロケット」の愛称のまま、他を寄せ付けないスピードを武器に駆け回る生まれながらのトライゲッター。
ケタ違いの速さを見せたというのが、10月4日1次リーグ、イタリア戦。後半5分、イタリア陣22m内でバックス展開すると、ボールは右タッチライン際に張ったチェスリン・コルビの元へ。
内にステップを切って1人をかわすと、もう1人のタックルを振り切り、
インゴールへとダイビングする。後半12分、SOハンドレ・ポラードのキックパスに
反応して右サイドを走りきりトライ。
この試合の最優秀選手にも選出されて「ボールを持って走ることは幸せだ」と微笑んで語った。
15人制のスプリングボクス(南アフリカ代表の愛称)では、2018年にデビューしたての25歳、7人制代表ではオリンピック大会の舞台も体験済みである。
2016年リオデジャネイロオリンピック大会では銅メダル。
当時メダルをかけた3位決定戦で対戦したのが日本で、
同じグランドの中にはWTB福岡堅樹もいたわけです。
3年の時を経過して、いずれもチームの「エース」となって、
最高峰の舞台でまたもや巡り合う。
チェスリン・コルビが福岡堅樹を
「スピーディーに、並外れたスピードを持つ良い選手」と誉めれば、
福岡堅樹は「サイズのない選手がトップで勝負するお手本」。
両者ともに認め合う2人のスピードバトルが、チームの勝敗を決める。
チェスリン・コルビの持ち味は速さだけではありません。
体の強さを生かし、物おじしないタックルやハイボールの処理でも素晴らしい
小柄な選手が高いレベルで存在感を発揮している極意はどこにあるのでしょうか。
「ラグビーは一人一人の特性に応じて、さまざまな貢献の仕方が存在する。
どういった体格でも全力を尽くし、チームのことを考えてプレーする」とチェスリン・コルビ。
小さな体には代表の誇りが詰っていました。
▲ラグビーワールドカップ2019年日本大会 10月20日(日)W杯決勝トーナメント【目次】
W杯決勝トーナメント ウェールズ 20-19 フランス
大分県・昭和電工ドーム大分 観客数3万4426人
ウェールズ逆転4強レッドドラゴンW杯2011年大会の雪辱
世界ランキング3位のウェールズは世界ランキング8位のフランスに20-19で逆転勝ちし、
2大会ぶりにベスト4にに展開した。
D組1位でクリアーしたウェールズは前半こそ10-19と劣勢だったのですが、
後半に退場者を出したフランスに対し優位に立ち、
6点を追う終盤に粘りの逆転劇を演じ、2011年以来「8年越し」の無念さを晴らす。
13-19で迎えた後半33分、ゴール前の絶好のチャンスにノックオンの反則を犯した。
痛恨のミスで、フランスボールとなるスクラムで試合が再開した場面。
後半途中に退場者が生じて、1人少ないフランスFW陣7人。
数的優位のウェールズは猛プッシュで7人の塊を押す。
ボールを取り戻したフランカーのジャスティン・テュピュリックが進むと、
最後は途中出場のNO8ロス・モリアーティがインゴールで押える。
W杯での対戦は2011年第7回ニュージーランド大会の準決勝(ウェールズ8-9フランス)
以来、当時とは全く逆の展開になった8年前。
過去最高の3位を成し遂げた、1987年(昭和62)第1回ニュージーランド/オーストラリア大会以来の4強進出をやり遂げたウェールズは、前半にFWの選手が退場処分を受けた影響もあり、
8-9で惜敗。
この日は後半開始早々危険なプレーで、フランスのFW選手が退場処分を受け、
数的優位の絶好の機会。
そうであってもフランスの揺るぎない防御を崩しきれず、細かなミスも重ねて、攻め切れない、司令塔のSOダン・ビガーが「見つめている人からすればスリリングな試合だったことでしょう」と思い起こしたようにもどかしい展開が続いたけれど、最後はFWの奮闘でトライをもぎ取る。
2011年大会でも指揮を執り「2011年W杯の思いを抱えながら、1試合ずつ積み上げてきた」といったウォーレン・ガトランド監督を喜ばせた。
4大会連続出場のロック、アラン ウィン・ジョーンズ主将は
「時計の針を考慮しながら、人数の優位にある防御を生かしてどうしても、点を手に入れようとした。最後のスクラムは『プレシャス』大切だと仲間に大きな声を出した」と死闘を思い返す。
順風満帆とはいえない戦いぶりだけど、しぶとく勝利をものにした「レッドドラゴン」
(ウェールズ代表の愛称)。
初めの頂点を目指す戦いは続いている。
▲ラグビーワールドカップ2019年日本大会 10月20日(日)W杯決勝トーナメント【目次】
車いすラグビー ワールドチャレンジ2019 日本悔しい3位
最終日の20日、東京体育館で行われ、日本(世界ランキング2位)は
3位決定戦で英国(世界ランキング4位)を54-49で降して3位。
ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会で、日本が準々決勝に進出されたことを受けとり、車いすラグビー日本代表のポイントゲッター、池崎大輔(三菱商事)は
「自分たちも結果を残して、バトンを次につなげたい」と口に出していた、結果3位。
「金メダルを獲得できなかった悔しさしかありません」と唇を噛みしめた。
3位決定戦の日本は強烈なタックルで相手を撃破し、
ターンオーバーに結びつけるなど集中し続ける。
それだけに第4ピリオドに勝ち越され、
1点差で勝つことができなかった準決勝のオーストラリア戦が悔やむ。
池崎大輔選手は
「終わりまで闘争心をキープしないと勝ちにはつながらない」と思い起こした。
2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックで銅メダル、
2018年8月の世界選手権で初の優勝と力を付けてきた日本。
池崎大輔選手は
「東京で悔し涙を流さないように、これから先の時間を使いたい」と先を読む。
▲ラグビーワールドカップ2019年日本大会 10月20日(日)W杯決勝トーナメント【目次】
スポンサーリンク